ガラクタギター博物館
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Jaramar JST
2015

35年目のハラマー復活プロジェクト 2015 Jaramar Revival Model (TAD Custom)

原山ギター 唯一のオリジナル・ブランド“Jaramar

1978年に 発売されたフェンダー系のコピー・モデルですが、その厳選された材とクオリティは価格の遥か上をいくものであった。
種類は全4機種。オールド・ヘッドのストラトキャスター、ラージヘッドのストラトキャスター、プレシジョン・ベース、ジャズベース。

スペックは、ボディはセン1P、ネックにはローズ指版の場合は原山ギターでしか出来なかったRつきラウンドボード指板。ネックには豪華なフレイムのものもあったようだ。

月産30本、2年間のみの生産だったため、いつしか幻のギターといわれるようになる。

(詳しくは原山ギター製作所  名器を支えた伝説の職人 原山則勝氏のページを参照)
http://www.geocities.jp/guitarofworld/HARAYAMAguitar.html


奈良氏製作の広告

松本のギター作りの先駆者として是非お話を聞かせて欲しいと連絡を取り、その後親密にお付き合いさせていただくようになったある日のこと・・・

廃業してから残っていた工作機械や、ハラマーの完成品や仕掛かり数本はすべて関係者にあげてしまったそうですが(もう少し早くお会いしていればーーーっと悶絶)、わずかボディやネック、1978年のデッドストック・パーツが残っていたのです。

まさにこれは私の天命のような仕事ではないですか!

もう一度ハラマーが組みあがっていくところを見せてあげたいと思いもあり、それを2015年バージョンのJaramarとして作りたいと申し出て、快く承諾いただいたのです。

幸い、ほとんどパーツが揃っていること、ほぼ完成品に近い状態の素材。完成は早いかな?

ネックは厳密にはハラマー用ではないのですが、多少ワケアリで長年工場に置かれていたもの。5Aランクの超フレイムのハードメイプル。
頂いた直後嬉しくて撮影。光線の加減がよくない・・・凄いトラ。

ボディはおそらくハラマー用に検討されたものだろうが使われなかった、材質がアルダーの超柾目の極上品。3TSのラッカー仕上げである。

ピックガード、ピックアップのアセンブリ一式は日伸音波製で、1978年のハラマー用のデッドストック品。
裏にあるスタンプは180811(製造ライン1の1978 811日製造)

EXCELの刻印のあるP.U.プレートはグレコでもおなじみですね。抵抗値までは測定していないのでわかりませんが、おそらく当時のグレコの上位機種と同じではないかと推測しています。

その他金属パーツもデカールもほとんどが1978年のハラマー用の当時のもの。 

まずはネックが無塗装のままだったため、塗装をしなければならない。 しかし・・今は真冬。
早く仕上げるには私の素人仕事よりも今回はプロにお願いしてしまおう!と、松本でギター塗装を専門にされている()キャラバンの後藤さんにお願いしました。
http://www4.ocn.ne.jp/~b-flavor/refinish.html

後藤さんはご夫妻でバンド活動もされており、ご主人は筋金入りのブルースマン。そんなこともあり、事情を話してお願いしたら快くお受けいただいたのでした。

仕上げはせっかくの素材を生かした高級感のあるものにしたかったので、極薄ウレタンマット仕上げ。ご好意で木地着色までしてくれました。


写真は仕上がったばかりのネックと後藤さん。元富士弦楽器の職人さん。腕は確かです!

一般の持ち込み依頼もOKだそうですのでお気軽にご相談くださいとのこと。

いざフレットの仕上げでも・・と思ったら、トラスロッドの調整範囲を超えた逆反りだったため、大ショック!
さっそく原山師匠に相談。

この程度なら矯正すれば直るということで、矯正方法を伝授いただき大型クランプで数週間矯正。しばらくはお預け状態です。ドキドキ・・・

数週間後、ほぼ真っ直ぐになったので、部分的なフレットの段差をすり合わせ、エッジを丸めてネックは完成。

ボディやネックはネジ穴が開いていない状態なので、現物あわせで開けていきます。

ネックの穴あけは、ボディを開けて、ネックをセットしたあとドリルをヘッド側に斜めにして5mmくらい開け、真っ直ぐに起こしてしっかり開けるとネックエンド側にボディが密着します。

あとはさほど難しくないのでちゃっちゃっと開けてパーツを取り付け。

Jaramarの特徴でもあるブラスナットはデッドストック・パーツのナットから整形。1970年代流行のアイテムですね。

ベルトサンダーでギリギリまで削り(小さいパーツのため熱をもって指では持っていられない)あとはサンドペーパーとピカールでピカピカに。

弦の溝彫りは面倒だから好きじゃないのです。地道で緻密な作業です・・・

苦労したのは作られてから37年も経過したデカール貼り。

さすがに糊はなくなり、そのまま水貼りしても触ると崩れるほど風化しています・・・何十枚もダメにして、思いついたのは文字に沿って裏側からタイトボンドを塗る工法(笑) 

タイトボンドは乾燥が早いため、文字をなぞったらすぐ貼り付け。そして水を塗って紙をそ〜っとはがして完成。
燦然と輝く“Jaramar The Super Crafted by HARAYAMA”の文字!

実際にはもうちょっと調整しないと納得いかない所もありますが(笑)
ひとまずは完成ということで。 

そして、師匠との感動のご対面! とても喜んでいただきました。
こちらこそ、こんな素敵なプレゼントと思い出、なにより伝説の師匠の原山さんにまたハラマーをみていただけたことが嬉しいのです。
こうして幻のハラマーJSTは新品の2015バージョンとして甦ったのです。

完成品ギャラリー






2015/2/22

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おまけプロジェクト(1981 Jaramar Les Paul

 

1980’s原山ギター製レスポール。これを知る者はほとんどいない。

このレスポールが世に出なかった理由があります。

そして、このギターは不思議な縁で素敵な物語が生まれました。

 

 

これはストラトを復活させるプロジェクトよりも前の2014夏。

原山さんが、長年大事に保管していたレスポールが1本だけありました。

私は、最初にお会いした時にこれを見せていただき、その存在を知っていました。

私がして差し上げたことはほんのわずかですが世界に1本のレスポール。是非見ていただきたいと思います。

 

 

1980年代初頭、原山ギターでは神田商会扱いで、イシバシやKEYとかの各有名ギターショップのショップ・オリジナルを手がけていましたが、その中の一つでKEY向けのレスポール・コピーモデルの企画があったそうです。

監修したのは神田商会で当時の12階にいた斎藤氏がアドバイザーでした。

自身の所有するビンテージのレスポール・スタンダードを原山ギターに貸し出し、それを細部まで採寸して作られたとのこと。

材質は国産のハードメイプルとホンジュラス・マホガニーの1Pボディ&ネック。

1回目の試作品が完成したので斎藤氏に見てもらったところ、ブリッジの位置をもう少し下げるように指示があり、再度修正して持ち込んでOKとなった。それが試作品第一号。

 

ほどなくして量産に入りボディやネックが仕上がりつつあったが、1981年(と思われる)突然、神田商会の小嶋社長からレスポールの発売を中止すると言われる。

それはフェンダー・ジャパンを設立することになったためギブソン系コピーは作れなくなったからである。

 

そしてこの試作品は30数年新品状態のまま保管されることになったのです。

 

 

2014の夏のある日、相談があるというのでお聞きしたところ、一番末のお孫さんが小さい頃みた記憶があるこのギターのことを覚えていてこのギターを欲しいと言っていると。 プレゼントするについてはノーブランド状態のヘッドに記念の意味もこめてJaramarのデカールを貼ってくれないかとのご相談でした。

本来は何か違うブランドがつくはずだった幻のギターです。喜んで引き受けました。

 

こうやって幻のレスポールは世界で1本のJaramar Les Paulとして33年目の新品ギターとしてよみがえったのです。

 

また、お孫さんは年末近くにご結婚されるということだったので、どうせならこのギターの思いを手紙にして披露宴でギターと共に贈呈式をしたらいかが・・と提案させていただき、無事披露宴でプレゼントされたとのことです。
(身内にこんなおじいちゃんがいたら最高ですね!)

 

これがそのギター。




 

 

そして贈呈式の様子。
皆さん大感動だったそうです。(羨ましいなあ〜)

皆さん末永くお幸せに。ギターもね♪


2015/2/22

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2015追加プロジェクト
1978 Jaramar JB Dead stock parts assembly specification.

 

ハラマーJST-900再生に続く第二弾。

ハラマー用のデッドストック・パーツを使ってJaramar The Super Bass2015年に蘇らせます。

 

ほとんどの部品は原山ギター製作所の1978〜のデッドストック品を使って組み上げました。

(一部は流用)

 

Jaramar1978年の広告に掲載されていた中にはストラトキャスターのラージヘッドとジャズベースは掲載されなかったため、このベースの正式名称を知らないのですが、想像するにJJB-900あたりでしょうか?(誰か教えてください)

 

ボディはセン1P。見事な柾目です。原山氏によるとオニセンをよく使っていたそうです。

塗装はラッカーの3TSカラー。

 

ネックは原山ギターのデッドストック流用品ですが、おそらくMoon用に製作された1980年代のウォルナット製のツバ出し仕様。

調整範囲を超えた逆反りだったためロットアウトとなっていたものを矯正して使用。

矯正後、当方でオイルフィニッシュしました。

ナットもデッドストックのブラスナット材に当方で溝加工し、ブラスペグも当時の純正品を装着。

 

ボディのパーツもピックアップとコントロール・プレートのみ社外品。ブラス・ブリッジは当時のもの。

リア・ピックアップにはダンカンの新品を装着しました。フロントは不明のバルク品。

 

Jaramar The Super Bassのロゴも当時のもの。

 

ベーシストにサウンド・チェックしてもらって完成!

締りがあってなかなか良いとお墨付きをいただきました。勿論原山氏ご本人も37年間眠っていたパーツに命が吹き込まれたことをとても喜んでいただきました。

これで可能な限り当時の新品パーツを使った2本のハラマーを復活させることができました。




2015/9/20

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