Persimmon
tannin finish Les Paul Jr. STD
レスポールJr. スタンダード(柿渋仕上げ)を作ってみる。
リハビリ第一弾、ガラクタギター製作です。
今回は、レスポールJr.のワケアリ払い下げボディを長年放置していたので、そこにレスポールのネックを無理やりくっつけてしまおうという、まともな製作家は絶対にやらない工作です。
なぜ無理やりくっつけるのかというと、それしか手元に素材が無かったからです(笑)
コンセプトがレスポールJr.のスタンダード(どっちや!と突っ込みが入りそうですが)なので、スタンダードとジュニアの中間くらいというか、ハイグレードなジュニアを狙った感じです。
それに日本の「和」のエッセンスを加えてみるのが今回の狙いです。とかっこよく言ってみますが思いつきです。
まず見てわかるとおり、レスポールとJr.ではジョイント位置が大きく違います。
ネックを奥まで入れてブリッジを思いっきり下げてしまえばそのままでも不可能ではありませんが、ヘンテコギターになってしまいます。
一応、通常のJr.と同じにしたいので、そうするとジョイントがわずか数センチしか設置面積がありません・・・。
足りないところはゲタをはかせて延長したら使えるかな?ということで、自作ギターで出たホンマホの端材を切り出して接合。ムダに職人気質なのでちゃんとコの字のジャストサイズにしてみましたよ。
タイトボンドで一晩圧着したら、巾をボディのジョイント形状に合わせて削り出し、ジョイント設置面をトリマーで掘り下げます。ここは仕込み角度に影響するのでちょっと気を使いますが、ボディ側のジョイントにはすでに仕込み角度がついているのでフラットで大丈夫でした。
出来上がりはいつもながら超タイトなセッティングで、左右に紙一枚も入りません。ネックで持ってもボディが抜けません。でもここまでタイトにしなくてもいいのかな?(音の伝達には絶対タイトなほうがいいと思うのですが、スキマと接着剤が多いのも精神衛生上我慢できなくてね・・)
仮組みできたら余分な出っ張りを削り落とします。
あまり削り落とすのも構造上心配なので、ヒール側にテーパー形状として少しでも設置面積を稼ぎます。
そしてボディと接着。ここで誤算が・・・あまりにもタイトな組み込みだったので設置面を彫刻刀で薄い溝を掘って接着剤が入るようにはしていましたがボンドが硬くてネックが奥まで入らん!(笑)
速乾性のため大慌てで体重をかけたり・・早くしないとくっついてしまうので大汗かきましたよ。
乾いてから、ネックのテーパーを自分の好みに小刀で削って、再度ヤスリで滑らかにしました。
ブリッジ穴とアース穴をあけ、ピックアップザグリをP-90ではなくハムバッキングマウント用に広げたらいよいよ塗装です。
今回は、まだやったことのない柿渋を塗ってみることにしました。
その前に、水性塗料のため下地づくりはきちんとやっておきます。特にマホガニーの場合は繊維をナナメにカットしてある部分はささくれがおきやすいため、まずは雑巾を絞ってボディ全体を拭き、強制的にささくれを出させたあと、サンドペーパー、それを数回繰り返してささくれをなくします。私の場合は#1500まで磨いてツルツルにしています。
普通は必要ありませんがここまでやると手触りが気持ちいいのよ。
この柿渋は、数年前のクラフトフェアで購入。納戸に入れていたので問題なく使えます。ネットでみるより随分色が濃いような気もします。色が進んだのかな?
日本伝統の塗料である柿渋。素材に浸透して硬化、いわゆるオイルフィニッシュと同じような効果があります。
化学薬品と違うのは、水性の天然素材で人や環境に優しいこと、そして塗り重ねることで色合いを調整できること、経年変化により色が濃くなってくること。などです。
なにより渋い色がいいですね。木材だけでなく、紙や布を染めることもできます。
欠点といえば、耐水性があまりないことと臭いです。
耐水性は後で塗布や塗装をすることで付与することができます。まあギターは水かけないのでいりません。
臭いは、腐った柿というか発酵した酢のような強烈なにおい。
塗布(4度塗り)してから2週間ほど経過したら殆ど気にならないレベルにまでになりました。ワトコとちがって水性のいいところかもしれませんね。
これが柿渋。醤油と見分けがつきません。 ん?てことは醤油フィニッシュもありかな・・・・やめておこう。
まず初日は2回塗りまで。濃くなったのがわかります。
塗り斑があるとダメなのでウエスを用意して塗ったら多いところを拭き取りながら塗布します。
翌日、もう2回塗り重ねてあとは臭いが抜けるまでぶら下げておきます。
いい色じゃないですか〜。
1週間ではまだ手に臭いが移りますが、我慢できず(笑) パーツ取り付けをします。
コントロール・キャビティに導電塗料を塗布。乾いたら配線。ペグもレスポール用をチョイス。
ブリッジはGrecoのBR2020を使ってみました。
ピックアップはおなじみダンカンのJBのリサイクル品。
そして、ピックガードはお友達のぱとさんに作っていただき、色々着せ替えて組み合わせを検討。
そして最終仕上げを決定したら出来上がり!
心配したジョイント部分はびくともしません。
サウンドは、ピックアップザグリがすでにP-90用にあいていたため、それをごまかすにはどうしても上下に穴を広げる必要があり、そうすると一般的なハム搭載のものよりリアよりにマウントされてキンキンになりそうな感じですが、ピックアップがハイパワーな太いサウンドのため、うまく相殺されて意外と締まって丁度良い気がします。怪我の功名ですね(笑)